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ケア資格ナビ> 心理カウンセラーガイド> ついに登場!国家資格「公認心理師」を取得するには?気になる合格率も紹介!
今まで民間資格しかなかった心理系の資格ですが、2017年9月の公認心理師法の施行により、国家資格が誕生しました。ここでは、国家資格「公認心理師」資格の取得方法や合格率、他の心理系資格との違いなどを紹介します。
こころの不調は病気の発症につながることは広く知られています。厚生労働省ではストレスチェックを義務化するなど、国民のこころの健康を保つためにさまざまな取り組みを進めています。その一環として、心理系資格として初めての国家資格、公認心理師の資格制度を創設。
これにより一定の資質を持つ公認心理師が誕生し、多くの人が心理に関する支援を受けられることが期待されます。
また、国家資格ができたことで、心理職の質の向上と地位の向上も期待されています。
公認心理師になるには国家試験に合格しなければなりません。国家試験を受けるためには受験資格を得る必要があり、正規ルートは下記3種類となっています。
必要な科目は大学が25科目、大学院が10科目です。大学では心理学概論をはじめ、臨床・発達・福祉など多数の心理学について、講義、演習、実習を組み合わせた形で学習します。大学院では保健医療・福祉など多数の分野に関する理論などを講義、実習から学びます。実習では施設見学等が行われ、大学では80時間以上、大学院では450時間以上と規定されています。
また2における特定の施設とは、公認心理師の主要5分野とされている「保健医療」「福祉」「教育」「司法・犯罪」「産業・労働」に関わる施設のことであり、学校・児童相談所・病院・老人福祉施設などの25施設と、文部科学大臣及び厚生労働大臣に認可された施設が対象です。
3は外国の心理に関する大学を卒業した人や、外国の心理に関する大学院の課程を修了した人などが該当します。
今なら正規ルート以外の人でも受験資格を得られます!
公認心理師には経過措置が設けられており、下記に該当する人は特例として国家試験を受験することができます。
決められた科目とは正規ルートにおける必要な科目に類似した内容で、心理や保健医療など主要5分野に関する科目に限定されています。
詳しくは以下を参照ください。
参考:公認心理師カリキュラム等検討会 報告書(概要)
試験には、近年の状況を踏まえた内容が出題されます。国民の心の健康の保持増進に必要な分野を含めた幅広い分野から出題、さらに頻度や緊急性の高い分野については優先的に出題されます。
出題範囲 | 公認心理師として備えておくべき知識や技能について * 出題科目を定めないため、科目免除はなし |
---|---|
出題内容 | ①公認心理師としての姿勢など基本的な能力を主題とする問題 ②それ以外の問題 * ケース問題を可能な限り多く出題 |
試験時間 | 240分 |
出題数 | 150~200問程度(全問マークシート方式) |
合格基準 | 正答率60%程度以上 |
受験手数料 | 28,700円 |
出題範囲は医師国家試験における出題基準(試験範囲を項目によって整理したもの)や、ブループリント(出題基準の各項目の出題割合を示したもの)に相当するものを作成・確定した後、公表されることとなっています。
なお、第1回試験の問題数は154問でした。
第1回の公認心理師試験は2018年9月9日に実施されました。11月30日に合格が発表され、合格率は79.6%でした。8割近い人が合格となりましたが、厚労省は当面「公認心理師の資格がなければできない業務」は設けない方針。今後は民間資格の「臨床心理士」などと、どのように差異化していくかが課題となっています。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
第1回 | 35,020 | 27,876 | 79.6 |
試験に合格するだけでは公認心理師として業務を行うことができません。医師や介護福祉士などの国家資格と同様に、登録が必要となります。
登録内容に変更があった場合は変更の届出、公認心理師登録証を汚したり、なくした場合には再交付申請を行いますが、6,100円の変更・再交付手数料がかかります。
同じ心理系資格として比較される臨床心理士との違いを確認しましょう。
公認心理師 | 臨床心理士 | |
---|---|---|
資格区分 | 国家資格 | 民間資格 |
受験資格 |
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業務内容 |
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臨床心理士は心理系資格の中では信頼度が高く、病院・学校など多くの場所で活躍しています。また業務の中に公認心理師にはない調査や研究が含まれており、これからも心理的援助を行う上で必要とされる資格でしょう。しかし大学院の卒業が必須なため、これから心理系資格を目指す人には大学卒業後2年以上の実務経験があれば受験できる公認心理師が選ばれる可能性もあります。
また同じ国家資格としては、職業に関する不安や悩みの解決を手助けするキャリアコンサルタントがあります。労働者の適性・能力・適職などの発見を助け、希望の職種に就くためにあらゆる支援を行います。
土日・夜間開講の講座もあり、修了と同時に受験資格が得られるため、国家資格でありながら目指しやすい資格です。
キャリアコンサルタントについて詳しく知りたい人はこちら>>
心理系の民間資格は数多く存在しており、さまざまな分野のカウンセラーが存在します。「悩みを相談したいけど、誰に助けを求めて良いのかわからない」という人も多く、結果として適切な援助に結びつかないこともありました。
国家資格が生まれたことで、相談窓口が統一され、必要な心理的援助が受けられるようになると期待する声もありますが、公認心理師は設立間もなく、今後の活躍も現状では不透明であり、さらに取得のハードルも高めです。
民間の心理カウンセラー資格には、メンタルヘルスや米国で生まれた実践心理について学ぶものなどもあり、子育てに役立てたい主婦や、良好な人間関係を築きたい会社員も受講しています。
また人と接する機会の多い看護師や介護士、技術や知識を伝える教師やコーチ、トレーナーなどがスキルアップのために取得することもあります。民間資格は公認心理師とは違い、短期間で目的に合った分野の資格を取得することができるので、民間資格も引き続き需要があると考えられます。
始まったばかりとはいえ、公認心理師は心理系資格のなかで初めての国家資格です。法で管理され、さらに登録が必要なため、信頼度が高い資格であることは間違いありません。保健医療機関や公的機関などで働く場合には有利に働くことが予想されるため、心理系資格に興味がある人はチャレンジしてみてください。
なるべく短い時間で仕事に生かせる資格を取得したい人は、まずは民間スクールの資格を検討してみましょう。
参考:一般財団法人 日本心理研修センター
公認心理師資格についてのQ&A
公認心理師法施行規則
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会
国家資格 キャリアコンサルタント試験