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ケア資格ナビ> メンタルヘルスケアガイド> メンタルヘルスケア資格に需要はある?現状や将来性まで解説!
この記事にたどりついた人は、メンタルヘルスケアができるようになりたいと、少なからず思っている人ではないでしょうか。
メンタルヘルスケアに携わることを考えたときに、資格の取得を考えると同時に、資格の需要や将来性が気になる人も多いと思います。
こちらの記事では、メンタルヘルスケアの現状や、資格の需要と将来性をくわしくご紹介します。
メンタルヘルスケアの資格取得を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルスケアに携われる人材の需要は年々高まっています。それと同時に資格も注目を集めています。
需要が高まっている理由は、メンタルヘルス不調を抱える人が増えているからです。コロナ禍によって引き起こされる感染・経済的な不安はもちろんのこと、働き方やコミュニケーションの取り方にも変化が現れ、様々な要因が複雑に絡み合っていることが予想されます。
従業員がメンタルヘルス不調になると、企業にとってさまざまな損失につながることもあります。
従業員が心身ともに健康的に働き続けられるように、メンタルヘルスケアを定期的に行う必要性が出てきているのです。
企業でメンタルヘルスケアを実施するには、専門的な知識やスキルがいりますので、資格は必要といえます。
資格を取得することで、理論に基づいたメンタルヘルスケアの実施や企業におけるメンタルヘルスケアの仕組み作りができるようになります。資格があることで、スキルの証明にもなります。
実際に企業で多くの人のメンタルヘルスに関わるなら、あいまいな知識のままでは説得力もなくよい効果を上げることは難しいでしょう。
常識的な企業なら、専門知識のない人をメンタルヘルスケアに携わらせることも、ほぼないといえます。
メンタルヘルスケアは、現状需要があることがわかりますが、なぜこれほど注目されるようになったのでしょうか。
日本ではこころの病気を抱える人は年々増加しています。
厚生労働省の資料を見ると、うつ病を含む気分障害の患者数は、2002年には70万人程度でしたが2017年には130万人近くに増えています。
上場企業を対象に行われた調査のなかには、7割以上の企業でメンタルヘルスに問題を抱えている従業員がおり、その人数は増加傾向にあるとの結果もあります。
実際、精神障害による労災補償状況を見ると、2016年には1586件だった請求件数が、2020年には2051件とその件数は年々増加しています。
こころの病を抱えつつも労災申請までに至らない人の数まで考えると、その数はもっと多いと考えられ、企業においてメンタルヘルスの問題が大きくなっているのです。
例えば企業で年収500万円の社員がメンタルヘルス不調で1年間休職した場合、本人への休業手当や代替の人員コストなどを含めると年間1500万円程度のコストがかかるといわれています。
大企業なら休職による損害は数千万円以上になることもあり、休職者のいる企業では大きな損失となっています。
同僚や上司などがうつ病となり休職した場合、ほかの従業員のモチベーションが低下する例もあり、生産性の低下やさらには企業のイメージの低下による損失も出てきます。
このような、メンタルヘルス不調によって引き起こされる状況を問題視し、国も企業もメンタルへルスケアに関するさまざまな取り組みをはじめるようになったのです。
出典:厚生労働省 こころの病気の患者数の状況
厚生労働省 精神障害に関する事案の労災補償状況
最近では、コロナ禍による働き方の変化からメンタルヘルス不調となる人も出てきており、国も企業も働く人のメンタルヘルスケアにさらに力を入れています。
実際、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
国は2016年から、従業員50人以上の企業には「ストレスチェック」を義務化しています。また、企業がメンタルヘルス対策を適切に実施するように、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を定め、推進しています。
休職してしまった従業員の職場復帰や復帰後のフォローも重要とされ、職場復帰支援のための手引きも作成され、企業へ周知・啓発を図っています。
厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)を公開するなど、メンタルヘルスケアの最新情報を随時更新しています。
働く人が不安やストレスと上手につきあいながら生き生きと働けるように、国ではさまざまなメンタルヘルス対策を推進しています。
多くの企業では、従業員にベストコンディションで働いてもらい、ベストなパフォーマンスを出してもらえるように、さまざまな取り組みを実施しています。
従業員がメンタルヘルス不調にならないためには予防が大切で、長時間労働対策やハラスメント対策を社内で行うほか、相談窓口を設置する企業も増えています。対策の実行や個別の相談を受けるために、専門スタッフを確保する企業も増えています。
従業員に対して、メンタルセルフケアの研修を行う企業もあります。
また、休職してしまった場合の職場復帰支援プログラムを策定する企業も増えています。
企業はいま、従業員のメンタルヘルス不調が大きな損失に繋がらないように、メンタルヘルスケアに真剣に取り組むときがきています。
企業において、メンタルヘルスケアの実施や仕組み作りをするには、どのような資格を取得すれば有効にいかせるのでしょうか。
こちらでは、メンタルヘルスケアの代表的な資格をご紹介しましょう。
こちらの資格は「人事や経営幹部を対象としたⅠ種」「管理職を対象としたⅡ種」「一般社員を対象としたⅢ種」に分かれているのが特徴です。
資格の取得で、人事・経験幹部は自社のメンタルヘルスケア対策の推進、管理職は部下のメンタルヘルス対策、一般社員はセルフケアに役立てられます。
取得方法 | 試験に合格し、検定試験センターへ資格登録をする |
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試験日 | 例年11月、3月(Ⅰ種は11月のみ) |
合格率 | Ⅰ種:20%前後 Ⅱ種:50%前後 Ⅲ種:80%前後 |
受験料 | Ⅰ種:11,550円(税込) Ⅱ種:7,480円(税込) Ⅲ種:5,280円(税込) |
EAPとは従業員支援プログラムのことを表し、そのプログラムを実施するための知識とスキルを身に付けることができます。
従業員にカウンセリングや心理療法を行ったり、組織へ業務見直しの提案や効果測定など行うことができるようになります。
取得方法 | 認定カリキュラムを受講し、資格認定試験に合格後、EMCA協会に入会する |
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試験日 | 1次試験:例年7月、1月 2次試験:(論述)7月、1月(面接)8月~9月、2月~3月 |
合格基準 | 1次試験:100点中60点以上の得点 2次試験:150点中90点以上の得点 |
受験料 | 1次試験:11,000円(税込) 2次試験:27,500円(税込) |
従業員に個別のカウンセリングや、管理職に対するメンタルヘルス研修を行うことができるようになります。リーダーシップ、コミュニケーションスキル、メンタルヘルスの維持・改善をサポートできます。
取得方法 | 指定の講座を修了するなど、受験資格を得てから試験に合格後、日本産業カウンセラー協会に登録する |
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試験日 | 年2回(6月・7月、1月・2月) |
合格率 | 70%前後 |
受験料 | 学科試験:10,800円(税込) 実技試験:21,600円(税込) |
企業内でストレスチェックがスムーズに実施されるように、コンサルティングやプランニングができるようになる資格です。
なお、ストレスチェックは医師や保健師、一定の研修を受けた看護師や精神保健福祉士などが行うことと定められています。
メンタルヘルスケアの資格についてもっと詳しく知りたい人はこちら>>
国による推進もあり、定期的にメンタルヘルスケアができる仕組みを作る大企業は年々増えていますが、実効性や広がりはまだ不十分といわれています。
また中小企業では、メンタルヘルスケアを行っている職場がまだ多くはない現状もあります。
今後は実効性の向上や中小企業への導入も広がっていくとみられ、メンタルヘルスケアの資格は将来性があるといえるでしょう。
働く人が心を健やかに保ち、ベストパフォーマンスを出すために、メンタルヘルスケアはとても大切です。
企業で従業員のこころのサポートに関わりたい人は、まずは資格の取得からはじめてみてください。