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ケア資格ナビ> 介護福祉士ガイド> 生活相談員の仕事!介護福祉士の働き方
インタビューにご協力いただいたのは…
介護施設で利用者の契約業務や介護計画書作成を行い、介護スタッフとして直接介護も行う「生活相談員」。生活相談員は介護のスキルはもちろん、利用者や家族とコミュニケーションを図り、事務的な業務も行えるなど、オールマイティーな能力を必要とする役職です。
現在、デイサービスで生活相談員として働く内田典子さんにお話を伺いました。
子育てしながら仕事を新たに始めようと決めて、何を仕事とするか考えたときに、介護職は息の長い仕事でやりがいのある職種だと思いました。求職するにあたっては、まず「ホームヘルパー2級」*1や「介護事務」の資格を取得しました。
*1 ホームヘルパー2級:2012年に「介護保険法施行規則」が改正され、2013年度よりホームヘルパー2級の取得者は介護職員初任者研修の修了者とみなされています。
「介護福祉士」*2は、介護職をこの先も続けていくなら当然必要だろうと思っていました。最初の勤務場所だった老人保健施設にいたとき、3年目に独学で取得しました。
介護福祉士受験のテキストは上巻下巻と2冊あるものを使用し、子どもが寝たあとにすべて家事を終えてから、半年くらい集中して勉強しました。
仕事をしながらの受験でしたが、疲れているときは休んで、元気なときにテキストに取り組むようにしていました。試験は実際の勤務に即した内容が多いので、働きながらの受験に心配は必要ありませんでした。
生活相談員の仕事は介護スタッフとしての介護スキルの他に、人としての経験が大きく影響してきます。私は若い頃には自動車会社の受付やアパレル店員などの仕事で、幅広い年齢層の方と接していたので、そのときに学んだ「人に合う言葉を選び、会話を進めていく」という会話術が今でも役に立っています。
*2 介護福祉士の受験要件について:2016年度の試験から実務経験ルートで受験するには、実務経験3年の他に実務者研修を修了することが必要になりました。
まずは求人応募をするにあたり、施設見学を行いました。介護施設は場所ごとに業務や雰囲気などが少しずつ異なるので、自分に合っている職場かどうかを判断する必要がありました。
デイサービスは一日の流れが決まっていて、休みが取りやすかったことは大きいですね。ご利用者様を送り届けたあとに、「今日も一日、無事に仕事が終わり良かったな」と振り返り、明日に切り替えができる瞬間が気に入っています。
介護職に就き始めた頃は、入浴介助などの現場が好きで働いていたのですが、介護スタッフとしてデイサービスでの勤務が2年ほど経過した頃、日々の生活の中で、ご利用者様から直接伺う情報だけでは、対応できないことが多いと感じるようになりました。ご利用者様やご家族様が満足されるには、介護スタッフ→生活相談員→ケアマネージャー・家族というような連携の中でサービスを行うことが大切だということに気付いたのです。その頃、ちょうど前任者が退職することになったので、私が引き継ぐ形となりました。
生活相談員は介護スタッフとしての業務を行いながら、ご利用者様との契約や介護計画書作成・サービス担当者会議への出席・施設見学対応などを行います。
日常的な業務の他に月単位で行う業務もあります。
時期 | 業務 |
---|---|
初旬 | 前月の実績*3を各事業所へ報告
介護報酬の請求業務(国保連請求) |
中旬 | 介護計画書を作成
サービス担当者会議 契約など |
下旬 | 次月のスケジュール調整・決定
当月実績決定 当月モニタリング*4作成 |
*3 実績:利用者が実際に利用したサービスを「サービス利用表」に書き記すこと。
*4 モニタリング:利用者の日々の様子を「情報提供表」「状況報告書」などに書き記すこと。
時間 | 業務 | 内容(赤字:生活相談員の業務) |
---|---|---|
8:15~ | 出社 | ・今日のスケジュールを確認し、ご利用者様を迎えに行きます。 |
9:15~ | 朝の会・入浴・レクリエーションなど | ・ご利用者様と挨拶をし、それぞれの活動を介助・見守ります。 |
11:30~ | 昼の会 | ・配膳や食事介助・後片付けを行います。 ・昼食後には配薬や口腔ケアも行います。 |
13:00~ | 休憩 | ・昼食をとり、リフレッシュします。 |
14:00~ | 契約・施設見学対応・サービス担当者会議出席など | ・利用希望の方の施設見学に対応し、利用が決定した場合は契約を行います。 ・ご利用者様のサービスを見直す時期に開催される担当者会議に出席します。 |
15:30~ | 情報入力 | ・新規に契約したご利用者様の情報を入力します。 |
16:00~ | 帰り準備 | ・ご利用者様がスムーズに帰れるように支度します。 (トイレ誘導など) |
16:30~ | 帰りの会 | ・帰りの会の後、ご利用者様をご自宅まで送ります。 |
17:00~ | 清掃・翌日準備 | ・清掃や翌日準備の他、場合によりケアマネに状況報告などを行います。 |
17:15 | 退勤 | ・施設の戸締りや点検を行い、帰宅します。 |
生活相談員は介護施設の一番初めの窓口です。私の場合は「デイサービスの顔」となるわけですので、施設の理念を理解し、スタッフと密なコミュニケーションを図るように心掛けています。
スタッフ同士の情報共有がきちんとできると、業務連携がスムーズにいきます。そうすると施設全体の業務に対するスキルも上がり、ご利用者様への対応にも余裕が生まれます。余裕ができるとスタッフは自然に笑顔で業務に就くことができます。
「スタッフが笑顔で仕事している」ということは、その施設のコミュニケーションが上手くいっているということだと思うので、そんな雰囲気づくりも大切にしています。
生活相談員をやっていて良かったなと思うことは、多々ありますが、ご契約時にご本人様やご家族様から困っていると伺ったことが、「デイサービスを始めて解消された」とお声をかけていただいたときには、やはりうれしく思います。
その他、ご利用者様に「この間、お休みだったね。顔を見ないと何か不安だよ」とお声をかけていただいたときには、生活相談員としての役割を果たせたような気がして、満たされた気持ちになりました。
「この仕事には向き不向きがあると思うけれど、間違いなく合っている」と言ってくれています。子どもたちも成長し、この仕事の意味を感じて、認めてくれていると思っています。
年齢を重ね、体もきつくなってきましたが、私は介護現場が好きなので、事務を兼ねた生活相談員を当面は続けていきたいと思っています。
いつか若者の多くが「介護職に就きたい」と思えるような職場環境になればいいなと思っています。
人生の大先輩の生活の一部に関わるので、難しい課題にぶつかっても「日々勉強!」と捉えてください。スタッフやケアマネージャーさんたちと連携して業務を行えば、不安なくできる仕事です。
介護職に長く携わっていくなら、自分の将来のためにも役に立つ仕事なので、ぜひチャレンジして欲しいです。
取材後記
ストレートの黒髪が動くたびになびいて、清潔感のある自然な笑顔の内田さん。生活相談員としての仕事を伺えば伺うほど、ご利用者様に対する愛情が感じられました。内田さんの今後のご活躍をお祈りいたします!