ケア資格ナビ> 実務者研修ガイド> 実務者研修のカリキュラムを知りたい
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実務者研修は、無資格者の場合で450時間以上の研修を受ける必要があります。期間にすると6カ月程度となり短いとは言えませんが、介護福祉士試験を受験する際の必須の資格であり、介護福祉士になるためのベースとなる技術と知識を習得できます。
実務者研修のカリキュラムは、利用者のさまざまな状態・状況に合わせて、的確な介護が実践できることを目指して組まれています。経験だけでは習得しにくい体系的な医学的な知識、制度の知識、認知症などについても学ぶことができます。
実務者研修のカリキュラムは全20科目あります。そのほとんどは通信で学ぶことができますが、「介護過程Ⅲ」「医療的ケア」の演習については対面授業により行われているので、通学する必要があります。
なお、実務者研修は保有資格の有無によって、科目の一部免除や受講料金の割引が適用されます。
実務者研修のカリキュラムの内容と時間を見てみましょう。すべての科目を受講すると修了までに460時間以上かかります。
実務者研修の科目と時間
科目(通信が可能な科目) | 時間 |
---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解 I | 5時間 |
社会の理解 II | 30時間 |
介護の基本 I | 10時間 |
介護の基本 II | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 |
生活支援技術 I | 20時間 |
生活支援技術 II | 30時間 |
介護過程 I | 20時間 |
介護過程 II | 25時間 |
発達と老化の理解 I | 10時間 |
発達と老化の理解 II | 20時間 |
認知症の理解 I | 10時間 |
認知症の理解 II | 20時間 |
障害の理解 I | 10時間 |
障害の理解 II | 20時間 |
こころとからだのしくみ I | 20時間 |
こころとからだのしくみ II | 60時間 |
医療的ケア | 50時間 |
合計 | 405時間 |
科目(通学が必須の科目) | 時間 |
---|---|
介護過程 III | 45時間 |
医療的ケア演習I | 12~16時間 |
合計 | 57~61時間 |
*実務者養成施設によって時間数が異なったり、通学の必要な科目が異なることがあります。
実務者研修は、国により定められた教育内容・到達目標があります。
学習内容を簡単に説明しますと、「さまざまな利用者に適切な介護を行うための基本的な介護スキル」をはじめ、「利用者やその家族とのコミュニケーションスキル」のほか、「目標を定めた介護の展開の仕方」、「自ら介護の計画を立てて実施し、見直しができるスキル」などになります。
これらを「生活支援技術」、「コミュニケーション技術」、「介護過程の教育」として学びますが、詳しくは以下の通りとなります。
コミュニケーション技術
生活支援技術 I
教育に含むべき事項 到達目標 ①介護におけるコミュニケーション技術
②介護場面における利用者・家族とのコミュニケーション
③介護におけるチームのコミュニケーション
・利用者・家族とのコミュニケーション・相談援助の技術を修得している
・援助関係を構築し、ニーズや意欲を引き出すことができる
・利用者の感覚・運動・認知等の機能に応じたコミュニケーションの技法を選択し活用できる
・状況や目的に応じた記録、報告、会議等での情報の共有化ができる
生活支援技術 II
教育に含むべき事項 到達目標 ①生活支援とICF
②ボディメカニクスの活用
③介護技術の基本(移動・移乗、食事、入浴・清潔保持、排泄、着脱、整容、 口腔清潔、家事援助等)
④環境整備、福祉用具活用等の視点・生活支援におけるICFの意義と枠組みを理解している
・ボディメカニクスを活用した介護の原則を理解し、実施できる
・介護技術の基本(移動・移乗、食事、入浴・清潔保持、排泄、着脱、整容、口腔清潔、家事援助等)を修得している
・居住環境の整備、福祉用具の活用等により、利用者の環境を整備する視点・留意点を理解している
介護過程 I
教育に含むべき事項 到達目標 ①利用者の心身の状況に合わせた介護、福祉用具等の活用、環境整備
・移動・移乗
・食事
・入浴・清潔保持
・排泄
・着脱、整容、口腔清潔
・睡眠 ・終末期の介護・以下について、利用者の心身の状態に合わせた介護、福祉用具等の活用、環境整備を行うことができる
・移動・移乗
・食事
・入浴・清潔保持
・排泄
・着脱、整容、口腔清潔
・睡眠
・終末期の介護
介護過程 II
教育に含むべき事項 到達目標 ①介護過程の基礎的知識
②介護過程の展開
③介護過程とチームアプローチ
・介護過程の目的、意義、展開等を理解している
・介護過程を踏まえ、目標に沿って計画的に介護を行う
・チームで介護過程を展開するための情報共有の方法、各職種の役割を理解している
介護過程 III
教育に含むべき事項 到達目標 介護過程の展開の実際
①利用者の状態(障害、要介護度、医療依存度、居住の場、家族の状況等)について事例を設定し、介護過程を展開させる
②観察のポイント、安全確保・事故防止、家族支援、他機関との連携等についても考察させる
・情報収集、アセスメント、介護計画立案、実施、モニタリング、介護計画の見直しを行うことができる
教育に含むべき事項 到達目標 ①介護過程の展開の実際
・多様な事例を設定し、介護過程を展開させるとともに、知識・技術を総合的に活用した分析力・応用力を評価する
②介護技術の評価
・介護技術の原理原則の修得・実践とともに、知識・技術を総合的に活用した判断力、応用力を評価する・実務者研修課程で学んだ知識・技術を確実に修得し、活用できる
・知識・技術を総合的に活用し、利用者の心身の状況等に応じて介護過程を展開し、系統的な介護(アセスメント、介護計画立案、実施、モニタリング、介護計画の見直し等)を提供できる
・介護計画を踏まえ、安全確保・事故防止、家族との連携・支援、他職種、他機関との連携を行うことができる
・知識・技術を総合的に活用し、利用者の心身の状況等に応じた介護を行うことができる
実務者研修では上記のような幅広い知識を習得して、介護職のスペシャリストを目指すことができます。全体の到達目標としては、以下の2つが掲げられています。
介護福祉士養成施設とは、国に指定されている大学や短大、専門学校のことです。それらの学校で、介護福祉士として活躍できる技術や知識を学ぶときと同じ水準の目標が、実務者研修の目標として定められています。
ここからも、実務者研修は介護福祉士のベースとなる資格であることがわかります。
実務者研修は、初任者研修よりも学習時間数も長く内容もやや難しいものとなっていますが、基本的にどなたでも受講が可能です。研修は知識や技術を身に付けてもらう目的として行われているので、ふるい落とすようなこともありません。
学習の後に復習をしっかり行えば修了できる研修なので、難易度は高くないと言えるでしょう。
実務者研修では科目ごとに課題を出し、理解できているかを確認して評価するスクールがほとんどです。ですが、初任者研修にあるような義務化された「修了試験」はありません。
スクールによっては独自で修了試験を行うこともありますが、試験はあくまで理解の確認なので、しっかり学んで理解をしていれば問題ないでしょう。
実務者研修は、基本的にはいつでもスタートすることができます。ただし、通学しなくてはならない講座は日程が決まっていますので、通学講座の日程を確認して申し込みをしましょう。
また、介護の実務経験が3年以上あり介護福祉士試験の受験を考えている人は、試験が行われる1月を考慮して受講をスタートすると良いでしょう。
実務者研修は所定の科目を修了すれば、サービス提供責任者として勤務することができ、介護福祉士も目指せます。実務者研修を修了して、ぜひスキルアップを目指しましょう。