ケア資格ナビ> ガイドヘルパー・同行援護従業者・行動援護従業者ガイド> 同行援護・行動援護従業者の資格要件について
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これまで国の障がい者に対する施策は「利用者に分かりづらく使いにくい」「地方公共団体間の格差が大きい」「費用の財源を確保することが困難」などの問題が挙げられていました。
このような問題を解決し、障がい者へ支援の拡充を進めようと、2011年に行われた障害者自立支援法改正で、「同行援護」や「行動援護」が自立支援給付のサービス体系に組み込まれました。
本ページでは、障がい者の外出を支援する同行援護と行動援護のサービス体系や、各サービスを提供するために必要な資格要件について触れていきたいと思います。
障がい者への支援は、その人の障がいの種類や程度、介護者、居住の状況、サービス利用に関する意向などを考慮する必要があります。そのため障害者総合支援法のサービスは「自立支援給付」と「地域生活支援事業」に分かれています。
移動支援のサービス体系
自立支援給付 | 同行援護 | 視覚障害により移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)や移動の援護などの外出支援を行います。 |
---|---|---|
行動援護 | 自己判断能力に制限があるとされる人が、行動するときに危険を回避するため、必要な外出支援を行います。 | |
地域生活支援事業 | 移動支援 | 一人で移動することが困難な人が、円滑に外出できるよう移動を支援します。 |
このように障がいがある人の移動支援は、利用者個人に給付される「自立支援給付」の同行援護・行動援護と、市町村の事業として実施される「地域生活支援事業」の移動支援に分けることができます。
利用者に一定程度以上の重度障害がある場合は、移動支援と介護を一体的に利用できる同行援護・行動援護サービスを提供します。
その他、利用者の個々のニーズや状況に応じてサービス内容を変える必要がある場合は、地域生活支援事業の移動支援サービスを提供します。
このように移動支援にはさまざまなサービスがあります。提供するサービスによって、従業者に必要な資格要件も異なります。
参考: 厚生労働省 サービスの体系
厚生労働省 全国社会福祉協議会 障害福祉サービスの利用について
障がい者の移動支援を行うには、障害に関する専門的な知識や技術を身に付けていることが重要です。移動支援を利用したい障がい者にスムーズな支援を行うため、同行援護や行動援護の従業者に対する要件は、それぞれに定められています。
同行援護や行動援護の従業者は利用者に必要なサービスを直接行う「ヘルパー」と、利用者・ケアマネージャー・ヘルパーなどと連携をとって調整的な役割を持つ「サービス提供責任者」に分かれています。
障がい者への移動支援を行うには資格が必要です。同行援護ヘルパーの資格要件は、2018年4月から障害福祉サービス等報酬の改定で新しい要件に変わりました。
同行援護ヘルパーとして働くには、以下の1~3のいずれかに該当することが必要です。
資格など | 研修や従事期間など | |
---|---|---|
1 | 同行援護従業者養成研修一般課程を修了した者(相当する研修課程修了者を含む) | |
2 |
|
視覚障害を有する身体障害者等の福祉に関する事業(直接処遇職員に限る)に、1年かつ180日以上従事した経験を有する者 |
3 | 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者またはこれに準ずる者 |
* 報酬減算の対象となります。
2018年4月から、同行援護のサービス提供責任者として働くには、同行援護従業者養成研修の一般課程と応用課程を修了していることが必須となり、以下の1と2または3のいずれかに該当していることが必要です。
資格や従事期間など | |
---|---|
1 |
|
2 | 同行援護従業者養成研修応用課程修了者(相当する研修課程修了者を含む) |
3 | 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の教科を履修した者またはこれに準ずる者 |
同行援護のサービス提供責任者へ従事する場合、介護福祉士などの資格だけでなく同行援護従業者養成研修の一般課程と応用課程の修了が義務付けられています。
修了した人には視覚障がい者への専門的な知識や技術が身に付いたと認められ、就・転職の幅が広がります。
知的障がいや精神障がいのある人への移動支援を行う行動援護従業者。行動援護ヘルパーやサービス提供責任者の資格要件も新しい要件に変わります。
行動援護のヘルパーやサービス提供責任者として働くには、2021年4月以降、行動援護従業者養成研修課程を修了していることが必須と予定されています。
2021年3月までの資格要件
行動援護ヘルパーとして働くには、以下の1または2の要件を満たしている必要があります。
資格など | 従事期間(日数)など | |
---|---|---|
1 |
|
知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に2年かつ360日以上の従事経験がある者 |
2 | 行動援護従業者養成研修修了者または強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者 | 知的障害児者(児)・精神障害者の直接支援業務に 1年かつ180日以上の従事経験がある者* |
* 報酬減算の対象となります。
2021年4月以降の資格要件
行動援護ヘルパーとして働くには、2021年4月以降は以下の要件で就業することが可能です。
資格など | 従事期間(日数)など |
---|---|
行動援護従業者養成研修課程修了者 または 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者 |
左記のいずれかの要件を満たす者で知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に1年かつ180日以上の従事経験がある者 |
2021年3月末までの資格要件
行動援護のサービス提供責任者として働くには、以下の1または2の要件を満たしている必要があります。
資格など | 従事期間(日数)など | |
---|---|---|
1 |
|
知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に、通算5年かつ900日以上の従事経験がある者 |
2 | 行動援護従業者養成研修修了者または強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者 | 知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に、通算3年かつ540日以上の従事経験がある者 |
2021年4月以降の資格要件
行動援護のサービス提供責任者として働くには、2021年4月以降は以下の要件で就業することが可能です。
資格など | 従事期間(日数)など |
---|---|
行動援護従業者養成研修修了者または強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者 | 左記のいずれかの要件を満たし、知的障害者(児)・精神障害者の直接支援業務に通算3年かつ540日以上の従事経験がある者 |
参考:厚生労働省 障害者等の移動の支援について
厚生労働省 平成 30 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)
厚生労働省 行動援護に係る報酬・基準について
これまで行動援護ヘルパーとして1年以上の実務経験で勤務してきた人に対しては、報酬が30%減算されていましたが、2018年の障害福祉サービス等報酬改定で1年以上の実務経験があれば、減算なく就業できることになりました。
今後、行動援護を支援する事業所で働きたい人は、養成研修を修了することに加えて実務経験が必要になります。
まだ実務経験のない人や日数が少ない人は、研修を受講することと並行して実務に従事していくと良いでしょう。