ケア資格ナビ> 福祉用具専門相談員ガイド
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更新日:2022年4月15日
福祉用具専門相談員は、福祉用具のレンタル・販売をする際に、お客様へ福祉用具の提案を行う専門職です。
福祉用具を必要とする高齢者、およびその家族に身体の状況や生活環境、希望などをヒアリングし、適切な福祉用具を選定・提案します。
高齢化が進み、介護職員の不足が懸念される中、政府は高齢者が出来るだけ長く自宅で生活できるよう、福祉用具などを活用して自立支援の取り組みを推し進めています。
そのため、自立支援に欠かせない福祉用具の知識を得られる福祉用具専門相談員の資格は、相談員を目指す人に限らず、介護業界でスキルを付けるためなど介護業界に関わる人すべてにオススメです。
福祉用具専門相談員の主な仕事は、必要とされている福祉用具が介護保険でレンタルできるのか、使い勝手の良い商品なのかどうかなどを専門的な立場からアドバイスすることです。
資格を取得することで、以下のような場所で活躍することができます。
勤務する場所によって仕事内容は異なります。まずは福祉用具の取り扱い店の仕事から見ていきます。
福祉用具の取扱店の中で、最も代表的なのは福祉用具の貸与・販売事業所です。
そのほかホームセンターやドラッグストアの介護用品売り場、訪問介護事業所などでも介護用品が販売されており、福祉用具専門相談員として商品説明や提案を行うことができます。
福祉用具の取扱店で働く福祉用具専門相談員は、ケアマネージャーと連携しながら高齢者に福祉用具の提案や使い方のアドバイスを行います。
また、利用する福祉用具が決まったら福祉用具サービス計画を作成します。
仕事の流れに沿って順番にご紹介します。
まずはケアマネ―ジャーや利用者の依頼を受けて、利用者の自宅を訪問し、現在の心身の状態や使用環境、希望などをヒアリングします(アセスメント)。
利用者の残存能力を最大限に活用し、最適な福祉用具を選ぶために必要な項目を漏れなく把握します。
アセスメントが終わったら、情報をケアマネ―ジャーと共有し「福祉用具サービス計画(利用計画)」を作成します。
計画には、どのような目的でどのような効果が期待されるかを記載します。
再度利用者宅を訪問し、利用者の身体の状態や環境に合わせて福祉用具を調整します。福祉用具を安全に正しく利用してもらうために、取扱いの説明を行います。
利用開始後も定期的に自宅を訪問し、福祉用具が適切に利用できているか確認するとともに、福祉用具の点検・調整を行います。モニタリングは年に2回の実施が義務づけられています。
モニタリングの結果は担当のケアマネージャーや訪問介護員にも共有を行い、引き続きサービス向上に役立てます。
利用者宅への訪問予定がないときは、担当地域内の居宅介護支援事業所や介護施設などを訪問し、情報収集やルート営業等を行います。新規利用者の獲得や新商品のプロモーションなどが主な目的です。
時には販売ノルマが課される場合もありますが、利用者の満足度や生活の質改善などに評価の重点が置かれます。また、達成したノルマに応じて給料がアップする場合もあります。
営業が未経験の人でも、介護の知識をいかして利用者と円滑なコミュニケーションが図れれば、過剰に心配する必要はありません。
福祉用具専門相談員の資格は、介護現場で働く介護職員がスキルアップのために取得することも多い資格です。
福祉用具の知識を学ぶことによって、より質の高い介護を提供することができるようになります。
介護職員が福祉用具専門相談員を兼務する場合は、通常の介護業務の傍ら、施設内で利用できる福祉用具の導入を検討します。
また使用中の福祉用具の衛生管理やメンテナンス、職員への使い方のレクチャーなどを担当することもあります。
介護老人保健施設の場合は、自宅退院に向けた準備や家族指導に携わる人もいます。
なおケアマネージャーなど相談業務に就いている人は、福祉用具に関する質問にその場ですぐに応じることができるようになります。
段差にスロープを設置したり、手すりを取り付けるなど、要介護・要支援認定された人が自宅で暮らし続けるため、住宅のバリアフリー化にも介護保険制度は適応されます。
こうした建築・リフォーム分野でも、福祉用具に関する専門知識をいかした提案をすることができます。
福祉用具専門相談員の資格は、国家資格ではなく公的資格になります。指定の講習を受講し、修了試験に合格すると取得できます。
修了試験は到達度を確認するような試験ですので、指定講習をもれなく受講すれば合格できる資格です。合格率はほぼ100%となっています。
福祉用具専門相談員の指定講習に受講資格はありません。どなたでも受講できます*。
* 研修機関によっては、指定講習に定められる到達目標に達することが困難な方の受講をお断りするケースがあるので、くわしくは研修機関にお問い合わせください。
受講期間は5~7日程度の短期間なので、働きながらでも無理なく取得可能です。受講費用も安く、取得がしやすい資格です。
福祉用具専門相談員の資格は、研修を通じて福祉用具に関する知識を学ぶことができます。そのため、仕事で福祉用具に関する知識を必要としている人が多く受講しています。
介護保険指定の福祉用具貸与・販売事業所で働いている人はもちろん、介護職員として働いている人も受講しています。
主に、今後必要とされる在宅介護の分野で活躍したい人、利用者に安全な福祉用具をおすすめしたい人などが、学んだ知識を日々の業務に役立てています。
福祉用具専門相談員の講習を受講しなくても、以下の国家資格を取得すれば、福祉用具専門相談員になることができます。
ただし、福祉用具の知識を有していることが前提になるため、事前に福祉用具専門相談員の講習を受け、知識を身に付けておくと日々の業務にも役立ちます。
福祉用具専門相談員は、今後の介護業界に欠かせない職種ではありますが、求人の数は通常の介護職と比べて少ないのが現状です。従って、福祉用具専門相談員の資格だけで就職活動に臨むのは現実的には難しいでしょう。
実際の求人を見てみると、「普通自動車運転免許」や「初任者研修」とセットでの取得が求められるケースもあります。特に、福祉用具貸与・販売会社で働く場合は、利用者の自宅まで福祉用具を届ける仕事もありますので、「普通自動車運転免許」はほぼ必須条件となります。
福祉用具専門相談員の資格を取るメリットは、取得する人によって異なります。
福祉用具貸与・販売事業所の仕事に興味があり、働きたいと思っている人は、事前に福祉用具専門相談員の資格を持っておくと就職に役立ちます。
なぜなら福祉用具貸与・販売事業所では、常勤2名以上の福祉用具専門相談員を配置しなければならないという義務があるからです。
そのため、福祉用具貸与・販売事業所が求人を出すとき、配置基準を満たすために福祉用具専門相談員の資格保持者を求めるのは当然といえます。
今は求人が出ていなくとも、資格を持っておけばいつでも採用試験に応募できます。受講期間も短いので、介護用品の貸与・販売に興味がある人は、ぜひとも事前に取得しておきたい資格といえます。
日常的に福祉用具を扱う機会が多い介護施設。福祉用具専門相談員の講習を通じて知識を身に付け、安全な介護やコミュニケーションに役立てることができます。
また、福祉用具専門相談員の講習は、将来的にケアマネージャーを目指している人にもおすすめです。
「福祉用具サービス計画書」を作成するための知識は、ケアマネ―ジャーの作成するケアプランと密接に関わっているため、実践的に役立つ知識を身に付けることができます。
福祉用具専門相談員の研修を修了する方法について、講座内容とともにご紹介します。
福祉用具専門相談員の資格を得るには、スクールで開催されている通学講座で50時間のカリキュラムを受講します。講習の最後に行われる修了評価(筆記試験)を受け、合格することにより資格を取得できます。
受講費用はおよそ4~6万円程度となっており、地域や受講形式等に応じて若干の差があります。
福祉用具専門相談員は福祉用具の種類はもちろん、自己負担金の概算や利用までの流れなどについて説明する必要があります。
これらの問い合わせに応えられるよう、福祉用具の使い方を理解するとともに、介護保険制度や法律の知識を身に付けられるカリキュラムになっています。
カリキュラム | 時間数 | |
---|---|---|
1 | 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 | 2時間 |
2 | 介護保険制度等に関する基礎知識 | 4時間 |
3 | 高齢者と介護・医療に関する基礎知識 | 16時間 |
4 | 個別の福祉用具に関する知識・技術 | 16時間 |
5 | 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 | 7時間 |
6 | 福祉用具の利用の支援に関する総合演習 | 5時間 |
福祉用具専門相談員と同時に持っていると便利な資格を紹介します。
福祉用具専門相談員として福祉用具の貸与・販売店で仕事をする場合、「福祉住環境コーディネーター2級」の資格を取得しておくと便利です。
福祉用具の貸与・販売店では介護保険を利用して行う住宅改修工事も請け負っていることが多いからです。
福祉住環境コーディネーター2級があると、介護保険給付を受けて手すりをつけるなどの住宅工事をする場合、自治体へ申請するための「理由書」の作成が可能になります。
ケアマネージャーのもとには、福祉用具専門相談員の作成した福祉用具サービス計画書が提出されます。計画書に目を通すことで、それぞれの要介護者に合った福祉用具が提供されているか確認することができます。
ケアマネージャーが福祉用具専門相談員の資格を取得すると、福祉用具サービス計画書の内容をしっかり把握することができ、福祉用具サービスの質の向上につながります。
ケアマネージャー自身が福祉用具を選定・調整することも可能になり、スキルアップになります。
最後に福祉用具専門相談員の将来性について、くわしくご紹介します。
国は2018年の介護報酬改定から、高齢者が住み慣れた地域で長く生活を送れるように、自立支援や重度化防止に力を入れています。2021年の介護報酬改定でもその流れは続き、重点項目となっています。
自立支援に福祉用具は必要不可欠で、実際に介護予防居宅サービスにおける福祉用具貸与の受給者数は近年増え続けています。厚生労働省の資料によると、2014年には福祉用具の年間累計受給者数が389万人だったのが、2019年には年間累計約645万人となっています。
参考:厚生労働省 介護給付費実態調査 結果の概要
(令和2年)
(平成26年)
介護施設に比べると福祉用具の販売店は少なく、この資格の求人自体は現状それほど多く見つけることはできませんが、福祉用具を使用している人は増え続けています。
貸与・販売店では資格保持者の配置が義務付けられていますので、注目度は高くキャリアアップにもおすすめの資格です。
手すりや歩行器、介護用ベッド、車いすなどの福祉用具は、高齢者ができる限り長く自宅で暮らそうとしたときに必要なもので、家族の負担軽減にも繋がります。
これらの選定などを行う福祉用具専門相談員は、今後ニーズが高まっていくと予想されます。