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国が実現を目指す「介護福祉士、保育士、准看護士の一本化」とは?

Shikakutougou

なぜ今、資格統合なのか

厚生労働省は少子高齢化が急速に進み、2060年には人口が8,674万人にまで減少、高齢化率は2013年より14.8%高い「39.9%」になると推計しています。また若年層が東京圏に移動しているため、地方での医療や介護、保育等の施設や人材の不足も深刻な問題です。そこで厚生労働省は人口の減少を克服し、地方を創生するという目的のため、2015年3月に「まち・ひと・しごと創生サポートプラン」を発表しました。

基本方針は「雇用制度、雇用対策に関する取組」「少子化対策に関する取組」「医療・介護、福祉サービスの基盤整備に関する取組」の3つですが、ここでは介護福祉士や保育士の資格統合に触れている「医療・介護、福祉サービスの基盤整備に関する取組」について詳しく見ていきます。

生活基盤が構築された、魅力ある「まち」へ

「医療・介護、福祉サービスの基盤整備に関する取組」は以下の通りです。

  • 医療・福祉・介護といったサービスが備わった「まち」をつくる。
  • 人材確保・サービス提供が困難な地域の増加に備え、福祉サービス(高齢者・障害者・児童)の融合を図るとともに、福祉サービスの担い手となる専門職種を統合・連携させる方策検討チームを厚生労働省に設置。
  • 都市のコンパクト化、公共交通網の再構築と連携しながら、移動支援を整備する。
  • 福祉有償運送スキームの活用など、社会福祉法人等による移動支援サービス等の提供を支援する。
  • 都会から地域へ移住し、健康で活き活きとした生活を希望する高齢者を支援する。

上記の内容を達成できれば、少ない人材で福祉サービスを行えるため、人材不足の解消が期待できます。また住みやすく、魅力的なまちをつくることで都会への移住者を減らすだけでなく、新たな移住者の流入も見込めます。

政府が推進する共生型施設とは

厚生労働省は介護福祉士、保育士、准看護士等の専門職種の統合を目指し、その足掛かりとして保育・介護・障害者支援等の福祉サービスを一か所で受けられる「共生型施設」の普及促進と整備を進めています

すでに全国各地で保育園や介護施設等が同敷地内で運営される「宅幼老所(地域共生型サービス)」は誕生しており、子どもと高齢者が触れ合う機会が増えつつあります。

対象者 メリット
高齢者 自分の役割を考える、意欲が高まる→日常生活が改善され、会話も促進される
子ども 他人への思いやりや優しさが身につく

共生型施設は一定の効果を得ており、利用者の満足度も高いです。しかし専門職種を統合し、少ない人数で共生型施設を運営するとなると、問題点やデメリットが数多くあります。

次の項では資格統合や共生型施設の問題点を解説していきましょう。

良いことばかりではない資格統合

一人があらゆるスキルを持ち合わせて活躍することは大変良いことです。しかし、対象者や業務内容が全く異なる資格を統合することは可能なのでしょうか。

たとえば介護福祉士の資格を持っている人が、新たに保育や看護に関する知識を一から勉強するとします。資格を所有するほとんど人は現役で働いている場合が多いため、勉強時間を確保することも大変です。同じことが保育士や准看護士にも言えます。資格を統合することでできる仕事が増えますが、その反面、必要とされる知識やスキルは膨大なものになります。

また統合された資格を取得し勤務する場合、働くスタッフは介護・保育・看護のすべてをこなすため、時間や状況によって業務内容が変わってきます。ある時は排せつ介助、ある時はお昼寝の準備…幅が広がることで一人当たりの作業量が増え、負担が大きくなることが容易に想像できます

事業者側にも課題はあります。それぞれの資格で現在の平均年収を比較すると、介護福祉士が250~400万円、保育士が約300万円、准看護士が300~450万円となっています。これらの資格が統合されれば、給与の設定は難しくなり、評価するにしても基準を細かく決めていなければ事業者、被雇用者ともに納得できる結果にはなりません。

資格を統合するためには

子供からお年寄りまでをサポートするスキルがあれば、求められる職場も幅広く、いくつになっても働くことが可能です。様々な業務に携わり、関わる人も多いため、やりがいが持てます。

しかし上述したように、資格を統合するには様々な問題を解決しなければならず、統合することで資格取得が困難になり、人材不足が加速してしまっては意味がありません。また給与面や待遇面も整備しなければ、資格取得希望者を増やすこともできないでしょう。

資格を統合するにあたっては、実際の現場で働いている人やこれから活躍が期待される若い世代の意見をよく聞いて、それぞれの立場を尊重し、慎重に進めていくことが必要です。

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