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コロナ禍の今、介護現場では 介護職員が取り組んでいること

Now Of Corona

2020年が明け、日本国内では「いよいよ東京オリンピック」の声も高まる中、人々が予期しなかった新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックが起こりました。
要介護者のライフラインとして日常生活の基盤を担っている介護現場では、通所介護サービス事業所の4割強が2割以上の減収、訪問介護や通所介護の事業所では人手不足などの混乱が生じました。
突然、私たちの生活を変えてしまったコロナ禍の今、介護現場ではどのような取り組みをしているのでしょうか。現状や国内の動きをピックアップしていきます。

目次
  1. コロナ禍でも働く介護職員 介護現場のいまは?
  2. コロナで変わった介護現場 国の対応は?

コロナ禍でも働く介護職員 介護現場のいまは?

3密を避けるために 介護現場の対応は?

コロナ禍は、介護現場の業務に混乱を招きました。予期しない感染力のある新型コロナウィルスの出現に、どのような手順で利用者にサービス提供を行い、スタッフを配置したら良いかが準備できていなかったためです。

さて、そのような状況で対応を迫られた介護現場はどのようにサービス事業を展開していったのでしょうか。とある介護現場で実際にとった対策を見ていきたいと思います。

全体的なコロナ対策

  • 事務所内は机を少なくし、空間を設ける
  • 常に窓や入り口は開けておく
  • 真夏や真冬時にはエアコン使用時も定期的に換気
  • 交代でスタッフの在宅勤務を導入
  • 一日における利用者の人数を減らす
  • スタッフや家族が発熱の場合は出勤停止
  • 入館制限・面会中止
  • 館内除菌の徹底

これらのルールは施設管理者や責任者らが、国や自治体からの通達に則り迅速に精査し、実際にルール化したものの一例です。
スタッフの家族が発熱しても万が一のため出勤を控えたので、結果的に慢性的な人員不足となりました。しかしあいまいな線引きは利用者やスタッフに危険が伴うので、生命維持を最優先としたルール作りを行い、介護サービスの提供を継続しています。

コロナ禍はこのような全体的なルールの他に業務の変更、スタッフの仕事への意識変革をももたらしました
こちらの介護現場では、介護職が行う基本的なコロナ対策も生まれました。

介護職のコロナ対策

  • スタッフ自身の手指消毒や洗濯を念入りに行う
  • 常にマスク着用
  • これまで以上に自分や家族の健康に留意する
  • プライベートでは人との接触を避け、極力外出を控える

これらの対策は、介護職に従事する人たちが共通して行った感染症対策の一例です。勤務中は感染症対策への緊張感があり、プライベートでも制約のある生活はときにストレスになりました。
「ときどきコロナうつになりそうな場面があった」との声も聞かれる介護業界ですが、職種別ではどんな対策がとられていたのでしょうか。

介護職員

  • 食事中は利用者・入居者が向かい合わないように誘導
  • 入浴やレクなど利用者・入居者同士が距離を保てるよう配慮
  • コロナにまつわるルールを利用者・入居者が理解できるよう説明
  • ルールを理解できない利用者・入居者がいる場合の対策を行う
  • 訪問業務は直行直帰

事業所や施設の利用者・入居者は、コロナ禍を理解できる人たちばかりではありません。多くの介護職員がコロナ対策を利用者・入居者に理解してもらい、実施してもらうのに時間を費やしています。
例えば発熱しているなど体調が良くない入居者に、できるだけ自室で過ごしてもらいたくとも、認知症などの理由により自室待機ができない場合は、健康な方に自室で過ごしてもらうような対策を行うなど、その場の状況に合った対策を講じています。

入居型の施設では外出がままならないので、介護職員は外出気分が味わえるようなレクリエーションを企画したりして、入居者の気持ちを盛り上げる工夫もしています。

ケアマネージャー(居宅介護支援事業所など)

  • 利用者訪問を控え、電話でモニタリング
  • 他事業所訪問を控え、電話やメール、FAXで連携
  • サービス担当者会議は照会で対応
  • 新規サービス利用のための見学を中止

居宅介護支援事業所などのケアマネージャーは、コロナ禍により利用者がサービスを控えたり、事業者がサービスを減らしたりしたので、サービスの内容に応じてケアプランを作り直す調整に時間を費やすことになりました

これまではケアマネージャーが利用者の顔を直接見て様子が伺えたものが、はっきり確認できなくなった期間は、利用者のADL(日常生活動作)の低下、フレイル(虚弱)などの懸念がありました。
訪問できない分、普段より多めに電話連絡をとるなどしてコミュニケーションを保ちました。

サービス提供責任者(訪問介護)

  • 事務所勤務と在宅勤務を交互に実施
  • ヘルパーミーティングの中止・人数の変更

ある訪問介護支援事業所では、もともと在宅勤務を想定した勤務体制ではなかったため、事務所勤務のスタッフに比重がかたよりました。3密を避けるために、緊急事態宣言中はヘルパーミーティングを中止。
解除後はミーティング参加者の人数を減らして開催しました。

サービス提供責任者はコロナ感染へのリスクから、ヘルパーの勤務意欲が低下しないよう、ヘルパーとのコミュニケーションに気を配るなどの注意が必要でした。

コロナ禍となり通所介護サービスを停止し、訪問介護に切り替えた人が多数いた中、ヘルパーのモチベーションを保ち、これまでと変わらないサービス提供を行うよう指揮してきたサービス提供責任者の精神的な負担は相当あったはずです。

さて目に見えない敵と戦っていた同じく施設のリーダー、施設管理者はどのように利用者やスタッフを見守り、指揮していたのでしょうか。

管理者

  • 通達がある度に施設内のルール作りをした
  • ルールをスタッフに伝達・共有
  • スタッフの代わりに介護業務に入ることが増えた
  • 今まで以上にスタッフや入居者の表情や様子を伺い、声掛けをした
  • 事故や他の感染症が起こらないよう施設内を点検した

管理者は、「入居者の安全」「スタッフの安全」を第一に考えています。管理者の仕事は施設全体の状況を鑑み、入居者が心地よく過ごし、スタッフもスムーズに業務が行えるようサポートすることです。
コロナ禍ということで、そのことだけに考えが及んでしまいがちなスタッフや入居者の気持ちが憂鬱にならないよう、できるだけ明るい話題で声掛けをしようと心がけていたようです。

介護現場のコロナ対応 利用者の反応は?

コロナ禍の介護サービスは、従事するスタッフだけでなく利用者にも変化が生じました。以下は、コロナ禍で事業所が利用者に実施したコロナ対策の一例です。

  • 手指消毒を念入りに行う
  • 定期受診を看護師による代理受診にする
  • 訪問時、入館時の検温徹底

コロナ禍になって介護サービスを利用する側にも、多くの影響が出ました。

利用者が「介護サービスを控える」、事業所が「サービス提供を縮小」する対応があったため、「いつも利用していた事業所に通えない」などの問題が生じました。そのため利用する事業所を変更するなどしたため、利用者はストレスとなり、発熱などの体調不良を起こしてしまうケースも見受けられました。

特に通所介護サービスの利用者の3%は、身体機能の低下が見られ施設に入所せざるをえない人が出ている状況も見られます。*
介護施設においては家族の面会が中止となったり、人との交流が減ったため、穏やかな性格の方がイライラしたり、沈みがちになってしまうといった傾向も見られました。

* 参考:人とまちづくり研究所 新型コロナウィルス感染症が介護・高齢者支援に及ぼす影響と現場での取組み・工夫に関する緊急調査【ケアマネジャー調査】結果報告書

介護業界がコロナ禍になって気づいたこと

コロナ禍となって、利用者宅へ訪問できなくなったケアマネージャーからは、「利用者の状況は、直接対面して確認する必要がある」と訪問の大切さを訴える声が。
一方、他事業所との連携は直接出向かなくてもできることが多くあり、業務の効率化が進みました

在宅勤務をした人には、自宅にいる家族が「自分の仕事を理解するようになった」という嬉しい一面もありました。
通勤時間がなくなり、家族とのコミュニケーションの時間が増え、ゆっくりと家族の話を聞こうと思える気持ちの余裕も生まれたのです。

コロナ禍になって介護業界では、業界全体で多くのことを学びました。
この事態をその場しのぎで終わらせることなく、「介護」は人々の暮らしになくてはならない仕事として認められれば、もっと介護職に就いてみようと考える人が増えていくかもしれませんね。

しかし「介護」が人々から認められるには、まず業務に見合った待遇を受ける必要があると言われています。そのためには国からの支援が欠かせません。
以前から人材不足や待遇改善が叫ばれている介護業界。次章ではコロナ禍となり、国がどう介護業界に手を差し伸べているのかを見ていきたいと思います。

コロナで変わった介護現場 国の対応は?

コロナにより状況が一変してしまった介護現場。コロナ禍になり、「経営が悪化」「人員不足」となっている介護サービス事業所があります
どんな問題があがったのでしょうか。

  • 利用者による介護サービス中止による営業利益減少
  • 事業所のサービス縮小による営業利益減少
  • 慢性的な人員不足
  • 衛生用品不足

新型コロナウィルス感染症対策の徹底支援 本当に必要なものは?

介護業界に突き付けられた問題は、これまで未解決のままだった介護職の待遇や人材不足を含めて大きな痛手となりました。

これらの問題を国は、どのような対策で解決しようとしているのでしょうか。

  • 障害福祉サービス施設・事業所などに勤務する職員に対する慰労金の支給
  • 特例の介護報酬アップ
  • 多事業所の利用者受け入れ可能
  • 無資格者でも訪問介護サービスで従事可能
  • 介護報酬請求、遅れても請求可能

現在行われている国からの対策は、上記のようにさまざまな支援があります。主な支援を具体的に見ていきたいと思います。

まず今回の国からの支援で目玉となったのは、介護職員などへの最大20万円の慰労金支給です。施設内で感染者が出た場合、入所者・利用者が濃厚接触者となった場合に1人20万円が支給されるというものです。
また感染者がいなくとも、1人につき5万円が支給されます。

コロナ禍により、ますます拍車がかかっている介護業界の人材不足。以前から要望のあった介護職員への慰労金をいち早く支給することにより、介護職離れを防ぎたい考えです。

通所介護

一方、事業所側には特に打撃を受けた、通所系サービス事業所(通所介護や通所リハビリテーション・地域密着型通所介護などには、特例ではありますがさまざまな介護報酬アップが提示されています。
通所系サービス事業所ではケアマネージャーと連携し、利用者の同意が得られれば、実際に提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分より2区分上位の報酬区分での算定が可能としています。
この算定を行える回数は、提供したサービス時間の区分に応じて異なります。

デイサービスでは営業縮小などによって利用できなくなった多事業所の利用者を、ケアプランを変更すれば受け入れることも可能とし、少しでも営業利益が縮小されないような取り組みを行っています。

訪問介護

訪問介護の特例としては、コロナ対策としてヘルパーが看護師と同行訪問した場合は、通常の2倍の報酬を算定できるとしています。
また人員不足が生じている訪問介護のヘルパーは、無資格者でも介護業務の経験さえあれば訪問介護のヘルパーとして認める方針も打ち出しています。

サービス提供時間についても利用者やヘルパーの感染リスクを下げるために、サービス提供時間がケアプランの時間より下回った場合、ケアプランの標準的な時間で報酬を算定して差し支えないとしています。
できる限りのサービス提供をした結果、提供時間が短時間となってしまった場合でも、最短時間の報酬区分での算定を可能とする配慮もなされています。

コロナ対策としてさまざまな方向から柔軟な対応が提案されていますが、これらの変更は通所系サービス事業所と同様いずれも、事前に利用者の同意を得ることが必要です。

介護事務・ケアマネージャー

国はコロナ禍で混乱が生じた事業所・施設の請求処理についても言及し、2020年3月以降、8月提出分までの介護報酬請求についてやむを得ない理由が生じたケースに限り、遅れて請求することを可能としています。
ケアマネージャーの業務にも「直接訪問できない」などの制約が出てきていますが、電話によるモニタリングなどをきちんと行っていれば「居宅介護支援費」の請求は可能としています。

コロナ禍を受けた介護現場では収束の兆しが見えないことから、このような特例はしばらく認められる方針です。

かねてから、人材不足や待遇の改善が叫ばれている介護業界に突如起こったコロナによるパンデミックは、改めて介護業界全体における人材力や対応力の層の薄さを浮き彫りにしました
衛生用品に関しても医療現場への供給が先になり、介護現場への供給が後回しになってしまった経緯があり、介護現場でのクラスター発生も見られました。

「介護に従事する人たちの意思や意欲によるところの成果が大きい」と、言われる介護業界全体を盛り上げていくためにも国からの支援をその場しのぎの支援にするのではなく、永続的な支援として継続し、さらなる待遇改善に取り組んで欲しいものですね。

参考:厚生労働省 新型コロナウィルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等 の臨時的な取扱いについて(第12報)
:厚生労働省 「新型コロナウィルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」のまとめ

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