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ケア資格ナビ> 特集記事> 日常に彩りとメリハリを!『福祉ネイル』の可能性
「ネイルアートは若い人たちのもの。」そんなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか? 実は、高齢化社会と呼ばれる今、高齢者向けのネイルサービスが注目を集めているのです。
高齢者や障がい者に向けてネイルを施す「福祉ネイリスト」が、その専門家として活躍しています。介護・福祉施設にプロのネイリストが直接訪問し、ひとりひとりの好みに合ったネイルを施します。
代わり映えのない毎日に刺激が与えられ、高齢の女性が元気を取り戻す姿が見られます。そんな効果をもたらす福祉ネイリストとは、一体どのような仕事なのでしょうか。
年齢を重ねるにつれて、人の身体は少しずつ変化し、外見も変わっていきます。
それでも、女性はいくつになっても美やファッションに対する想いは残っているもの。女性は美しくなることで心がはずみ、気持ちも明るくなるのです。
こうした女性の気持ちに応えたのが福祉ネイルです。
実際、ネイルを施すことによって、心や行動・人とのかかわりが前向きになる、ストレスホルモンが減少するといった効果が挙げられており、それに伴って運動能力にも改善がみられるといった報告がなされています。福祉ネイリストは施設で単調に暮らしがちな高齢者の指先を美しくすることで、日常生活にメリハリと潤いを与えQOL(Quality Of Life=生活の質)を上げるお手伝いをします。
では、実際にはどのような施術が行われているのか、詳しく見ていきましょう。
年齢を追うに従い、シミやシワが目立つようになる肌とは異なり、爪はほとんど老化しません。それでも、乾燥によって割れやすくなることがしばしばあるため、ヤスリを使って爪の形を整え、ローションで手や指先とともに保湿をします。
老人福祉施設でネイルに関する施術を行う場合、こうした「ネイルケア」や「ハンドマッサージ」といった基本のケアが中心となります。
ワンランク上のおしゃれを提供する場合でも、軽くマニキュアを塗る程度がほとんど。ジェルネイルは剥がす時に負担がかかることがあるので、代わりにシールを用いるネイリストもいるようです。
高齢者は体力や抵抗力が落ちている場合があります。使い捨ての道具を使ったり、換気や念入りな消毒を行ったりと、衛生面には十分に気を配る必要があるでしょう。
こうした爪のケアによる効果はもちろんありますが、高齢者がネイリストと向き合って座り、おしゃべりをしながらケアを受けることがスキンシップやコミュニケーションとなり、気持ちが明るくなることにつながります。
美容サービスへの支出額は年齢と比例して上昇し、70代女性の割合が最も高いとされています。
そんな70代女性の人口は全体の約1割。これほどまでに多くの人々が美容へ関心を寄せているのだとすれば、高齢者向けの美容サービスは大いなるチャンスを秘めているということがわかるでしょう。
それでは高齢者向けネイリストは、どのような場所で活躍することができるのでしょうか。
①派遣・出張
老人ホーム、グループホーム、デイサービスといった介護・福祉施設に出張し、ネイルサービスを施すケースです。ネイルサロンに足を運べない高齢者でも、ネイルケアを受けることができます。
②ネイルサロンの高齢者向けサービス
通常のネイルサロンにて来店を受け付け、施術をします。この数年間で、60代前後のシニア世代の来店数が伸びているようです。
③家庭
プロのネイリストでなくとも、簡単なネイルケアであれば家庭でも行うことができます。
入浴後の爪が軟らかい状態で形を整え、クリームで爪周りの皮膚を保湿し、ベースコートを塗るだけでも十分効果が得られます。ただし、ハサミなどを使う甘皮処理は傷を作る心配があるため、家庭では行わない方が良いでしょう。
現在福祉ネイリストとして活動している人は、プロのネイリストとして働きながら、高齢者向けのネイルも施している人がほとんどです。ネイリストとしての経験がない人は、まずはネイルの資格を取得することから始めましょう。
一般的なネイルの知識と技術を身に付けた後、高齢者に向けた専門的な施術内容を学ぶために、一般社団法人シニアチャレンジッドメンタルビューティー協会主催の、福祉ネイリスト認定制度を利用する人もいます。
認定校にて一定カリキュラムを修了し、卒業試験に合格した上で実地研修を行うと、協会よりディプロマが発行されます。この他にも、福祉ネイリスト専用のセミナーは多数開講されています。
高齢者を美しくするのは福祉ネイルだけではありません。プロのメイクアップアーティストが高齢者にメイクを施すこともあります。これは「化粧療法」と呼ばれ、メイクを通じてQOLを上げ、心理的・生理的な治療効果をもたらす療法として研究もされています。
また、高齢者のQOLを向上させるには、高齢者向けのアロマセラピーやカイロプラクティックなども注目を集めています。例えばアロマセラピーでは、香りによるリラックス効果や認知症予防が期待されています。カイロプラクティックの場合は、施術により姿勢が良くなったり体が軽くなることで、前向きになり行動的になる効果も見られるようです。
福祉ネイルやアロマセラピーなどで、高齢者が少しでも潤いのある生活ができるように、お手伝いができれば良いですね。