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【2023年度版】介護業界の状況は?5類後のコロナ対応は?

Kaigo 2023

2023年度は、新型コロナウイルス感染症が5類への移行、高齢化社会の更なる深刻化、2024年度に改定される予定の「介護報酬」など、トピックスは非常に多くあります。

今回は、2023年度の介護業界について、ご紹介していきます。

新型コロナウイルス感染症の5類への移行

2020年から3年程度に及んだ新型コロナウイルス感染症は、季節性インフルエンザなどと同じく感染症法上の位置づけが「5類」に移行されました。
マスクの着用も個人の判断となり、2020年以前の状態に戻りつつあります。

一方で、厚生労働省が発表している「介護保険最新情報」では、 介護施設は重症化リスクの高い方が多く利用されており、厚生労働省では 「勤務中」においてはマスクの着用を推奨しています。

ただし、勤務中であっても周囲に人がいない状況などに、マスクの着用が必要ないと考えられる場面については、各高齢者施設の管理者の判断となっています。

さらに、入所者の面会については「心身の健康への影響」の懸念があるため、面会の再開・推進を図ることが重要とされています。

今後はインフレエンザ含め、感染による懸念と、気持ちよく生活・サービスの利用をしてもらうためのバランスを考えていくことが求められるでしょう。

出典:厚生労働省「介護保険最新情報」

2024年に予定されている介護保険法改正

介護保険制度は、社会の状況などに合わせて3年に一度法改正が実施されており、次回の改定は2024年に控えています。新しい介護保険制度では、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定も同時に行われる予定です。

2024年度の介護保険制度改正に向けた審議は「介護保険制度の見直しに関する意見」にまとめられています。大きな柱は以下の2つです。

  • 地域包括ケアシステムの深化・推進
  • 介護現場の生産性向上の推進、制度の持続可能性の確保

75歳以上の後期高齢者の増加と現役世代の減少に対応する方向性となっています。「地域包括ケアシステムの深化・推進」における「在宅サービスの基盤整備」では、訪問介護と通所介護を組み合わせた形で検討されている「複合型サービス」の創設が提案され、注目を集めています。

また、介護報酬がプラス改定になると、介護職員の給与も上がる可能性が高まります。

出典:介護保険制度の見直しに関する意見

2023年の介護サービスの需要について

介護サービスは広く認知されているとおり、主なサービス利用者である高齢者は増加傾向にあります。改めて、高齢化社会の現状を確認しましょう。

高齢化社会の現状

2010年をピークに日本の人口は減り続けています。出生率が低下し14歳以下の人口が減少。また、生産年齢人口(15歳〜64歳)も1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。

一方、75歳以上の後期高齢者の数は増加傾向です。65歳以上の高齢者数は2025年には3,677万人となり、2042年にはピークを迎えると予測され、後期高齢者の全人口に占める割合は、30年後の2055年には25%を超える見込みが示されています。

国は、介護予防などを通し、高齢者が介護サービスを利用しないで生活することなどを積極的に進めているものの、介護サービスを必要とする方は今後も増えていく見込みです。

出典:介護保険制度の見直しに関する意見

介護職員は実は人気?だが人手不足は進んでいる

介護職員は、平成12年には約55万人であったのに対し、令和元年時点では参考値であるものの約200万人になっており、4倍近い増加です。

一方で、需要の増加はそれ以上のペースで上回っております。 厚生労働省の資料によると、都道府県が推計した介護職員の必要数は2023年度には約233万人、2025年度には約243万人、2040年度には約280万人とされています。

介護業界の展望は?

少子高齢化が進み65歳以上の高齢者人口がピークになることで起こりうる「2040年問題」について、厚生労働省の報告書「今後の社会保障改革についてー 2040年を見据えて ー」によると、以下が対策として掲げられています。

  • 多様な就労・社会参加
  • 健康寿命の延伸
  • 医療福祉サービス改革

医療福祉サービス改革については、2040年時点で、単位時間サービス提供量(サービス提供量÷従事者の総労働時間)について5%の改善を目指すとしています。

ロボットやAI、ICTなどの実用化推進もその対策のひとつです。紙の書類作成などアナログな業務が多い介護業界ですが、インターネットなどを活用するICT化や、移乗や入浴などをサポートする介護ロボットの導入・検討が2023年度以降も積極的に行われることが予想されます。労働環境を見直すための議論は今後も活発に行われるでしょう。

出典:厚生労働省 医療・福祉サービス改革プランの概要

介護職の平均給与はどのくらい?

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、常勤の介護職員の平均給与額(手当・一時金含む)は、316,610円です。給与は、勤続年数やリーダー職など役職によって異なるほか、以下の通り施設形態によっても変わります。

引用:厚生労働省 医療・福祉サービス改革プランの概要

施設には、日帰りで利用される通所リハビリテーションや、介護度が高く身体介助がメインになる介護老人福祉施設など複数の形態があり、提供するサポート内容が異なります。スキルや知識が必要とされ体力が求められる施設ほど、給与は高くなる傾向です。

どうなる?今後の介護職の給与

介護職の給与は年々増加傾向です。2023年度以降も、介護業界の人手不足の解消や賃金などの処遇が改善されていくことが期待されます。

常勤の介護職員の平均給与額(手当・一時金含む)において、2020年は309,230円でしたが先述の通り2021年には316,610円に上がっています。岸田政権は介護職などで働く人たちの所得向上を政策の1つとしており、2022年2月から1人あたり月額約9,000円の手当が支給され、10月以降は介護報酬に組み込まれました。

要介護者は増え介護職の需要は高くなる一方であるため、今後も介護職の給与は上がっていくことが予想されます。

2023年度以降の介護業界の需要

高齢化が進む日本において、介護業界は市場規模が大きくなっていくため、需要は高いといえるでしょう。

要介護者は増加傾向にあり、介護サービスの担い手はますます必要とされます。介護人材は重宝され、介護職の需要は伸び続けるといえます。

介護は未経験・無資格でも働ける仕事です。介護職の入門資格といえる「介護職員初任者研修」やその上位資格である「実務者研修」は働きながら資格取得を目指せます。年齢を問わず働くことができ、セカンドキャリアとして介護職に就く方もいます。資格取得によって訪問介護の責任者である「サービス提供責任者」になれるなどキャリア形成がしやすく、長期にわたってやりがいを持って働き続けることができるでしょう。

初任者研修について詳しく知りたい方はこちら

実務者研修について詳しく知りたい方はこちら

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