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想像と違う「介護の世界」 湘南ケアカレッジ 代表者インタビュー

Shounancare

湘南ケアカレッジ代表 村山敬之様より、従来の想像と異なる「介護の世界」についてお話をうかがいました。

湘南ケアカレッジの原点は「介護を受ける側」の体験から

――湘南ケアカレッジについて簡単にご紹介ください。

湘南ケアカレッジ代表 村山敬之様
湘南ケアカレッジは2013年に開校した、町田にしかない小さな学校です。大手チェーンではありませんが、その分、生徒さんお一人おひとりに対し、丁寧に分かりやすく教えさせていただいています。すでに1700名を超える生徒さんたちが卒業し、神奈川、東京町田周辺の地域の介護現場で活躍されています。介護の世界の素晴らしさを、ひとりでも多くの人々に伝えたいと願っております。

――どんな想いから学校をつくられたのですか?

代表の若かりし頃
私が介護職員初任者研修(当時のホームヘルパー2級講座)を受講したのは、今からおよそ20年前のことです。大学を卒業してから勤めた会社を1年で退職し、今で言うところのフリーター、そして苦しい引きこもり生活を2年ほど続けたのち、渋谷にある教室に2ヶ月間ほど通いました。当時、全くと言ってよいほど介護や福祉の知識はなかった私でしたが、新しい世界に飛び込むつもりで、教室に足を踏み入れたことを覚えています。

世代を超えた仲間たちと、久しぶりに学生のような生活を楽しみ、それまでの人生では教えてもらわなかったことを学びました。体験型の学習や、グループワークを通し、少しずつ自分の周りの世界の見え方、大袈裟に言えば、私の世界観が変わっていったのです。

――具体的にはどのような体験をされたのですか?

たとえば、食事の介助の授業にて、自分でお昼の弁当を持ってきて、クラスメイトに食べさせてもらう演習がありました。食べさせるだけではなく、介護を受ける側の立場に立ち、食べさせてもらうという演習でした。本当に小さかった頃を除き、他人に食べさせてもらうことから遠ざかっていた私にとって、その経験は衝撃的でした。私が味わったのは、どこにもぶつけようのない怒りでありストレスでした。自分が食べたい食べ物を選べない悔しさ、自分のペースや好みの量で食べられないもどかしさ。ほんの数分の体験でしたが、今でもあの時の感情は忘れられません。

――介護をする側だけではなく、介護を受ける側の体験から学んだことが大きいということですね?

はい、その通りです。今まで当たり前にできていると思っていたことが、当たり前にできなくなったとき、当たり前は当たり前ではなくなります。食べたいものを自分の手で食べられるということが、どれだけ大切か。健康で自立した生活ができることが、どれだけ素晴らしいことか。介護される側の体験をすることで、その気持ちや感情を理解するきっかけを与えてもらったのです。当時、人生に半ば絶望していた私自身が癒されていったのは、ただ生きていることが素晴らしいと気づいたからなのだと今は分かります。

こういった原体験がもとになり、世界観が変わるような、最高の福祉教育を、ひとりでも多くの人々に届けたいと思いました。それが私の福祉教育に賭ける想いであり、湘南ケアカレッジの原点でもあります。

湘南ケアカレッジの伝えたい新しい介護の「3K」

――これから介護の世界に飛び込もうとしている生徒さんたちには何を伝えたいですか?

介護の世界は、「皆さまが想像しているものとは全く違いますよ」ということでしょうか。大げさだと思われるかもしれませんが、湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修を受ける前と受けた後では、見える世界が全く違ってくるはずです。湘南ケアカレッジの卒業生の誰でもいいので聞いてもらえれば本当だと分かるはずです(笑)。

たとえば、介護って力仕事だって思っていませんか?持ち上げたり、重かったりして大変だ、腰を痛めてしまう、そういったイメージをお持ちかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ力はいらないと考えた方が良いと思います。介護職員初任者研修でお伝えするボディメカニクスの8つの原則を理解することによって、皆さんの考え方はガラッと変わります。

また、介護職員初任者研修の最初の授業では、介護に対するイメージを話し合うことからスタートします。研修が始まったばかりですので、生徒さんそれぞれの介護観は、世間一般で言われるイメージに近いものになります。その中でもよく出てくるのが3K。つまり、“きつい”、“きたない”、“きけん”です。この介護の3Kのイメージを、湘南ケアカレッジは研修を通して変えていきます。

――介護の仕事は3Kではないということですね?

よくある介護の3Kのうち、“きつい”と感じてしまうのは、もしかしたら全てを自分でやろうとしてしまっているのではないでしょうか。利用者さんのできることはやってもらい、できないところをサポートするという介護にシフトできれば、そのきつさは少なくなるはずです。

“きたない”は特に排泄の介護において、できるかぎりオムツなどを用いることなく、自分たちと同じようにお手洗いに行ってもらえるようにしていければ、介護者がサポートすることも少なくなっていくはずです。もしかしたら排泄の介助をするような状況を、自らの手で増やしてしまっているのかもしれません。

“きけん”について、感染症はその原因や感染防止の方法、そして万が一、感染症が広まってしまった場合の対応法についての知識があれば危険は少なくなります。腰痛に関しても、正しい身体の使い方やボディメカニクスを知った上で介護に臨むことで、腰痛のリスクは少なくなります。知らないことが危険なのです。

湘南ケアカレッジの伝えたい新しい介護の3Kとは、“くふう(工夫)”、“けんこう(健康)”、“かんどう(感動)”です

“くふう”とは、介護者が介護の仕方をちょっと工夫することで、安心で安全な介護をすることができるようになります。今ある道具を工夫して用いることで、これまでできなかったことが簡単にできるようになることもあります。

次に“けんこう”は、介護者が健康でなければ良い介護はできないということです。高齢の方、特に認知症の方は感受性が鋭いので、こころもからだも健康な状態で介護をしていないと、その気持ちが伝わってしまいます。そうならないためにも、私たち介護者は心身共に健康でなければならないのです。

そして、3つ目の“かんどう”は、介護の現場は感動の嵐だということ。利用者の人生の最後に寄り添う私たちは、介護の仕事を通して、誰もがたくさんの感動を与えてもらうことになります。落としたスプーンの話、寝たきりの方が立ち上がって見送ってくれた話、看取りの話など、数々の感動秘話は、ぜひ研修の中で先生方から聞いてください。何度聞いても、私は思わず胸が詰まってしまいます。

おむつを着けない介護の大切さ

――介護職員初任者研修の中で、おむつレポートがあると聞きました。

はい、湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修では、「おむつ体験レポート」を書いてもらっています。「おむつ体験レポートって何?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そうです、おむつを着ける体験を通して、感じたこと、思ったことなどを自由に書いてもらって提出していただきます。このレポートを始める前は、生徒さんたちは少し抵抗感があるかなと心配していましたが、いざやってみると、皆さん積極的に取り組んでくれて、それぞれに感じるところがあるようです。「貴重な体験でした」という感想をくれる方もたくさんいて、嬉しい限りです。

おむつを着けてみたときの着け心地や使用する前と後の変化について、写真入りのレポートを提出してくれた方もいました。他の生徒さんたちも素晴らしいレポートを提出してくれますので、その熱い気持ちに応えられるよう、先生たちも一生懸命に読んで、返事を書きます。

――おむつや排泄のケアは、介護の世界に入ろうとする方が自分にできるのだろうかと心配するデリケートな部分ですよね?

はい、その気持ちはよく分かります。ただ、人間が生きていく上で、排泄は必要不可欠なものです。「心理的な意味」、「身体的な意味」、そして「社会的な意味」と、私たちが人間らしく生きていくために大切な3つの意味を持ちます。ですから、排泄に支障があると、日常生活に大きな影響を及ぼすのです。たとえば、これまでトイレで排泄をしていた人がおむつを着けると、これまでに行なっていた趣味や遊びなどの生きがいへの参加をあきらめざるをえず、次第に生きる意欲の低下につながる恐れがあります。

また、年中おむつをしていると、あせもやただれ、かぶれなど皮膚の問題が発生し、皮膚炎や褥瘡などの病気にもつながります。さらに、おむつを着けると、動きが制限されるため、日常生活の動作にまで支障をきたします。寝床から起き上がったり、椅子に座ったり、歩いたりという普段の生活の中での動作がしづらくなります。高齢の方は筋力が低下していることが多く、おむつを着けることで、身体のバランスを崩しやすくなることもあります。

そして、介護者にとっても、介護量が増えるというマイナスがあります。たとえば施設において、数十人もの利用者のおむつを換えることになれば、多くの人手や時間や労力が必要ですが、限られた人員、時間等の中で行なうため、介護職員の負担は決して軽くありません。体を曲げた姿勢でずっと行なうとすれば、腰への負担も大きくなるかもしれませんし、なんと言っても、介護職員のこころに与える影響も少なくありません。特に施設におけるおむつ交換は、自立支援とは程遠い、同じ介助を繰り返す流れ作業のようになってしまうことがあります。そんな中、介護する人たちの葛藤や悩みが積もってゆくと、介護の現場にボディーブローのようにきいてくるのです。

――決しておむつを勧めているわけではないということですね?

もちろんです。「おむつは最終手段」であることを覚えておいてほしいと思います。歩ける人はトイレで、移動が困難でも座れる人はポータブルトイレで、寝たきりであったとしてもおむつが外せないか考えるということです。おむつ体験レポートは、決しておむつを推奨しているわけではなく、おむつを着けない介護の大切さを、介護者に身をもって知ってもらうことを目的として行なっていますそんな介護者がひとりでも多くなれば、介護の世界が少しずつ変わってゆくと信じています

もう顔の見えない学校の時代は終わりにしたい

――最後に、湘南ケアカレッジはどのような学校でありたいとお考えですか?

これは生徒さんたちから湘南ケアカレッジへいただいた色紙やメッセージボードです。全員からの暖かいメッセージが記してあります。最終日の修了試験が終わったあといただいたのですが、あまりの嬉しさに言葉に詰まってしまいました。湘南ケアカレッジに来てくれただけで、感謝してもし足りないぐらいなのに、逆に感謝してもらえるなんて。この色紙は私たちの宝物です。

世界観が変わるような最高の福祉教育を届けたい、という想いで先生たちと頑張ってきたつもりでしたが、それは一方的だったのかもしれません最後は生徒さんたちの想いが合わさって、はじめて最高になるのだと思いました。生徒さんたちから、色々なことを教えてもらった気がします。

顔の見える学校をつくりたい。改めて、そう強く思いました。生徒さん一人ひとりの顔が見える学校を。先生やスタッフの顔が見える学校を。たった15日間のスクーリングであり、たとえ一期一会であったとしても、顔の見える関係を築きたい。それは言葉で言うほど簡単ではありません。

かつて私が大手のスクールで働いていたとき、生徒さんの顔は見えませんでした。ひとりのスタッフが複数の教室を担当していれば当然ですし、重要なのは、生徒数であり売上であり、どれだけコストを掛けずに講座を回すか。それはそれで大切なことだと思いますが、左から右へと資格とお金が流れて行くだけで、そこに喜びや感謝や幸せはありませんでした。甘っちょろいと思われるかもしれませんし、そう思うのは今だけだよと突っ込まれるかもしれません。でも、もう顔の見えない学校の時代は終わりにしたいのです。


[取材協力]
湘南ケアカレッジ代表 村山敬之様
町田教室:東京都町田市中町1-17-11ー太陽ビル第9の4F
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