介護・福祉・医療資格講座紹介
掲載希望スクール様はこちら皆さん、認知症カフェってご存知ですか?認知症は国民病と呼ばれるほど近年患者数が増加しており、厚生労働省の試算によれば2025年には700万人以上、65歳以上の5人に1人がかかる病気と言われています。
家族が認知症にかかったら、必然的に介護が必要となります。介護者の負担を減らす目的で厚生労働省が着眼したのが「認知症カフェ」です。認知症カフェは認知症の人とその家族が、地域の人や介護の専門家と情報共有や交流ができる場所です。この事業は厚生労働省の新オレンジプラン内の施策であり、「認知症の人が住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」ことが基本方針となっています。
地域包括支援センターや介護サービス施設・事業者などが中心となって開催されている認知症カフェ。実際どのようなことが行われているのか取材しました。
私が取材したとある認知症カフェでは以下のようなことが行われていました。
デザートや飲み物の提供
おやつ引換券を渡すと、コーヒー、紅茶、緑茶などから選んだ飲み物と手作りのデザートが提供されます。
参加者のために特別に作られるデザート。内容は日によって違うそうですが、ケーキや和菓子など、どれも作り手の愛情が感じられるものばかり。私が取材した日は見た目もきれいな「あずきのムース」で、とてもおいしかったです。
ヴィオラ演奏
この日はヴィオラ奏者を招き、「ロンドンデリー」「君をのせて」「川の流れのように」など、比較的なじみのある曲が演奏されていました。知っている曲は一緒に歌い、とても楽しいひと時でした。イベントは毎回異なり、演奏会の他、足湯・習字・楽器作りなどさまざまです。
予防体操
ゴムバンド使って体力アップの運動が行われました。
座ったままできる運動なので、高齢の人にも負担なくできる内容でした。
ふまねっと運動
50センチ四方のマス目でできた大きな網を床に敷き、この網を踏まないように歩く運動です。ステップの種類が豊富にあり、間違えないように学習しながら歩行します。たとえば右から踏み出してそのマスで3歩、次のマスは左から踏み出して3歩…をどんぐりころころの曲に合わせて手拍子しながら!というように、ただ単に歩くのではなく、考えながら足を踏み出さなくてはいけないので、結構難しいです。
この運動、間違えるとなぜか盛り上がります。周りも「がんばれー」など声援を送り、終わったらハイタッチをしながら席に戻るので、会場全体に一体感が生まれていました。
行われる運動も日によってさまざまで、座ったまま手を組み、腕を上や前に伸ばす運動や、「片足立ちが何秒維持できるか」といった体力測定を行うこともあるそうです。
活動中はもちろん、受付時やティータイムなどにも参加者が施設スタッフや地域ボランティアの人々と楽しそうに話す姿が見受けられました。認知症カフェは認知症の人とその家族が中心となる憩いの場ではありますが、いろいろな境遇の人が集まり、みんなで一緒に何かを行ったり、同じ時間を過ごしたりすることの大切さを改めて学ぶことができました。
増えつつある認知症カフェですが、まだ全市町村での実施には至っていないのが現状です。その存在すら知らない人も多いのではないのでしょうか。認知症の人が自分らしく生活するためには、家族だけでなく、いろいろな人達のサポートが必要です。実際、今回伺った施設でも「認知症カフェを運営する上でボランティアさんには大変助けられています」と話されていました。「今の自分に関係ないから…」と思わず、認知症に対する知識を得て、理解していくことも大事なのではないでしょうか。
認知症との向き合い方