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日本版CCRCは成功するのか?

Ccrc

CCRCとは?

高齢者が元気なうちに移住し、必要となれば医療や介護サービスを受けながら終身で過ごすことができる生活共同体がCCRC (Continuing Care Retirement Community)です。

アメリカでは1970年代から増え始め、今では多くの施設が存在し、そこで過ごす高齢者は充実した日々を送っています。中にはショッピングセンターや医療機関など生活に不可欠な施設や、ゴルフ、プールなど各種アクティビティが揃ったCCRCもあります。

日本でもこのCCRCを取り入れようと盛んに議論が行われ、実際動き出している施設もありますが、「当初の予定より移住者が少なくて計画が破たんした」「介護従事者が不足し、満足なサービスが提供できない」といった自治体もあり、アメリカのように成功している事例はほとんどないと言います。

日本版CCRCが成功しないのはなぜなのでしょうか。

日本版CCRCが成功しない理由

日本とアメリカではそもそも事業主や移住者が異なっている

アメリカ 日本
事業主 民間企業など 政府や自治体
移住者 富裕層 富裕層+年金受給者

上表のように、アメリカのCCRCは富裕層が利用するため、入居費用が数千万、毎月の支払は数十万とも言われています。そのような大金を払えば、十分なサービスが受けられるのは当然です。

しかし日本のCCRCは富裕層の利用に限らず、一般的な年金受給者をも対象としています。まず入居費用が支払え、CCRCに移住した後も毎月の利用料を捻出できる人でなければ、申込すらできないのです。

日本ではCCRCの対象者において移住希望者が少ない

平成26年8月に東京都在住の18~69歳男女1,200人を対象に実施された「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」では「東京都から移住する予定または移住を検討したいと思っている人」は約4割で、うち関東圏以外の出身者は約5割という結果が出ました。

多いと感じる人もいるかもしれませんが、50代男女で比較すると男性は50.8%なのに対し、女性は34.2%と低い傾向にあります。友達が多く、今の場所で住み慣れている人であれば移住する必要性を感じない場合もあります。夫婦間で意識が違えば移住も困難となるでしょう。また移住を意識している年代は、CCRCの対象になりうる60代が最も低くなっています

以上のことから、日本でCCRCを成功させるためには様々な問題があることがうかがえます。

日本版CCRCを成功させるために、まずはCCRC設置費用の削減から

CCRCでは活動場所(クラブハウスやレジャー施設など)や住居といった施設の他に、セキュリティ対策、介護・医療体制整備など環境面も整えなければなりません。新たに建設するとなると莫大な費用がかかり、それは事業主や利用者が負担していくこととなります。

しかしすでにあるものを利用して、経費を抑えたCCRCを作ろうとする動きも出ています。たとえば、大型スーパーだった建物をリノベーションして会員制のコミュニティ施設として利用したり、CCRCに空き家を利用してコストダウンを図ろうという市町村もあります。

アメリカのCCRCを真似するのではなく、日本に合う、日本ならではCCRCを模索することが日本版CCRCの成功につながるのではないでしょうか。

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